PURELOVE
この学校に来るのって、文化祭以来なんだよね。


あの時はまだ楓君のこともよく知らなくて、上手く喋れなかった気がする…


そういえば、その時に貰ったチケットでサッカーの試合見に行ったよね。


ホント、すごく懐かしい。


そんなことをボーッと考えていると、あたしを呼ぶ声がした。


振り返ると、制服姿の楓君が驚いた顔で立っていた。


しばらくは(意地悪されながらも)楽しくお喋りしていたけど、何だか急に悲しくなった。


きっと大学に行ったら、楓君はあたしのことなんて忘れちゃうんじゃないかって…


漠然とした不安が押し寄せてきたんだ。


「4月になったら、こうやって会いたい時でも会えなくなっちゃうんだね…。寂しいな…大学には可愛い子いっぱいいるだろうし…」


気付いたらあたしは泣きながら、心の中にあった不安を口に出していた。


今日のあたし、泣いてばっか。


こんなワガママ言っても、楓君を困らせるだけなのに…


言ってしまった後悔から、楓君の顔が見れなくなって下を向いた。


フワッ…


いきなり体が温かくなったと思ったら、楓君に抱き締められてて。


ビックリしすぎて、一瞬にして涙が止まった。
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