PURELOVE
怖い…


誰か助けて…!



どのぐらい時間が経ったか分からないけど、いきなり声をかけられた。


「あの…もしかして、立川美鈴さん?」


ビクッ


ゆっくりと下を向いていた顔を上げた。


その人の顔は太陽に照らされて、眩しくてよく見えない。


「やっぱりそうか…良かった、見つかって…」


よく見ると、何かのニユフォームを着ている。


バスケ?ううん、サッカー?


やだっ、また男じゃん!


もう一度走り出そうとしたけど、運悪く腕を掴まれた。


キッと男を睨む。


「大丈夫!何もしないから!」


その男の目は嘘をついているように見えなくて、あたしは最後の逃げるチャンスを逃すこととなった。


「ほら、ここ座ってて。」


男はそう言うと、携帯を取り出して誰かに電話をかけ始めた。


「もしもし?あぁ、俺。見つかった。あぁ。入口近くのベンチにいる。あぁ、じゃあな。」


そして携帯をポッケに入れると、ベンチの近くに立ったまま黙り込んだ。


「「………………」」


あたしは下を向いたまま、男は空を見つめたまま、沈黙は続いた。


き、気まずい…


何か話した方がいいかと思ったけど、思い付かなかった。


少しすると…


「みすず―――!!」


遠くからあたしを呼ぶ声が…。
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