PURELOVE
後半も相変わらず、激しい攻防戦が続いた。


結局最後まで点数が入ることはなく、試合は延長戦に突入すると誰もが思った。


俺もそう思い始めていた。


けど、チャンスは回ってきた。


相手が、ボールを外に出したんだ。


そこは、ゴール近くの四つ角の一つ。


メンバーの一人で、俺との相性はバッチリな三浦は、俺がゴールを決めたほとんどをアシストしている。


そいつが今回もボールを蹴ることになった。


いつも以上に敵がついていたけど、俺はゴールができる場所に位置ついた。


綺麗な弧を描いたボールは、俺の頭上よりやや高めにあった。


渾身の力を出して、ジャンプする。


そして…



ゴ――――――ル!!


俺はガッツポーズをして、池田と抱き合った。


………え?


何でキーパーの池田が相手のゴールの前にいるかって?


これは絶対ゴールすると決めた時の作戦だったんだ。


俺にばかり気を取られていた相手は、まさかキーパーが来るなんて思ってもいない。


だから、俺がオトリになって部内でもずば抜けて背が高い池田がゴールしたんだ。






もちろん危険な賭けだった。


失敗すれば、キーパーのいない俺達の方にゴールが決まっていたかもしれないんだからな。


これこそ信頼し合っている俺達ができる、言わば“チームプレイ”ってわけ!
< 44 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop