PURELOVE
近くの公園に着くと、早速拓海君を滑り台に座らせた。


「ヒュ~ン!」


滑っている最中にあたしがそう言うと、拓海君は楽しかったみたいでもう1回もう1回とねだってきた。


さすがに10回目をおねだりされた時は体力の限界を感じた。


裕子さんが持ってきてくれていたシャベルやバケツを見せてみる。


すぐに興味がそれに移ったのを確認して、砂場に座らせて遊ばせた。


やっと一人で遊び始めた拓海君を見て、あたしは近くのベンチに座った。


疲れたぁ―――――――!!


楽しそうに砂をバケツに入れている拓海君を見ながら、あたしは今日の大会がどうなっているか考え始めた。


楓君、勝ってるかなぁ?


携帯を見ると、メールの返事は返ってきていなかった。


パチンと携帯を閉じて、県予選の決勝戦の試合を思い出してみる。


最後に決勝点を入れた時の楓君、かっこよかったなぁ~。


何かにあんな風に夢中になれるってすごいな…


あの時の楓君は、キラキラ輝いて見えた。
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