PURELOVE
あたしは彩花を置いて、反射的にその小集団から逃げ出した。


走って逃げても、追いかけてくるその集団。


何で追ってくるのぉ~~~!?


追われると逃げたくなるもので、あたしは階段を一気に駆け降りて玄関方面に向かった。


すると、前からこっちに向かって来る人影が見えた。


「ちょっとどいて~!」


「あっ、山本!そいつ捕まえてくれ!」


あたしの声と委員長らしき男の声が重なった。


必死に走っているせいで人影の顔まではよく分からないけど、その人は立ち止まってこっちを見てる。


ダメだ…、どいてくれない。


もしかして、追ってくる人達の仲間なのかな…?


咄嗟にその人の横を通り過ぎようとしたら、腕を掴まれた。


うわっ!捕まっちゃった…


「よくやった!」


後ろからそんな声が聞こえてくた。


でも、その人は…


「こっち!」


そう言って、あたしの腕を引っ張った。


「「え…?」」


あたしと後ろの男の声が重なった。


そんなの完璧スルーして、その人は上手く人を避けながら走っていく。


それと同時にあっという間に小集団が見えなくなった。
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