PURELOVE
「ほら!あそこ!憎っくきカップル発見!」


「あ、ホントだ…」


二人に向かって走る。


「おい、一輝!」


「あれ?楓じゃん!どうしたの?…と美鈴ちゃんまで。しかもそれ、ウチの制服だよね?」


「誰のせいでこうなったと思ってるんだよ?立川も何か言ってやれよ!」


そう言ったのに返事がない。


ん?と立川を見ると、緊張した感じでその場に立っていた。


……あ、やべっ!


一輝だって男じゃん!


話せるわけないよな…


すっかり忘れていた俺は、


「一輝、ちょっとあっち行くぞ?」


と言って、立川から離れることにした。


「あれ~?すっかり仲がよろしい感じですねぇ~♪この短期間に何があったんですか~?」


茶化すように俺の顔を覗き込む一輝。


「な、何もねぇし!」


「美鈴ちゃん、楓といる時はすごく楽しそうだねぇ~★」


「は?見てたのか…?」


「いや…直接は見てないよ?」


「直接はって…じゃあどうやって見たんだよ?」


「体育館に行けば分かるんじゃねぇ?」


「…た、体育館?」


「とにかく仲良くなれたみたいだし、何か相談とかあったら俺に言えよ?」


その言葉に、ますます意味が分からなくなる俺。
< 87 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop