PURELOVE
「うん…でも何で?小学校に上がる前に引っ越したでしょ?」


「親父の都合で引っ越したけど、高校こっちが良かったから戻ってきたんだ」


「あ、そうなんだ…」


幼稚園の時は随分仲が良かった気がするけど、男の人が苦手になったあたしは圭君みたいに普通に話せない。


「ここで会ったのも何かの縁だから、アド交換しようぜ!」


「あ……うん」


半強制的に赤外線交換されたあと、また腕を引っ張られた。


「あ、ちょっと…!」


焦っているあたしに、圭君は笑顔で言った。


「あっちで話そ?俺、ダチと来てるんだ。」


「あ、ごめん…あたし、もう戻らなきゃ…」


「おい、離せよ!」


あたしの声と一緒に、後ろから聞こえる声が被った。


「…え?」


そう言って振り返ると、そこにいたのはさっきまでサッカーに夢中だった楓君が立っていた。


「おい、お前はっ!」


「お前っ!」


二人してそう言って、若干嫌そうな顔をした。


ん?知り合い…?


「あの…知り合いなの?」


控えめに口を挟むと…
< 99 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop