Crazy Love
「この間偶然会ったんです、本屋で。芹…さんと会って話もできたし。最近のこととかも、少しは」

「あ、そうなんだ」

俺の言葉を聞いて、カズくんはちょっとホッとした表情を浮かべた。思わず声を掛けたはいいけれど、俺にこの子を見せてしまうことになり、気まずかったのだろう。

「……ずっと、会えたらと思ってたんだ。ニシくんに」

「え?」

いきなりまじめな声で話し出され、一瞬戸惑った。

「あの時さ……姉ちゃんひどいこと言ったみたいだから。悪かったね」

「それは……」

カズくんにあの時のことを謝られて、俺はなんと返していいか分からなかった。
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