Crazy Love

───「いつか男の子が生まれたら、俺もああやって一緒にキャッチボールしたいなぁ」

多摩川の土手を散歩しながら、目に入った親子を見て俺が言った。

「男の子が産まれたらさ、絶対野球の楽しさを教えてやるんだ! 俺の息子がプロの選手になったりしたらいいよな~!」

突然、まだ見ぬ息子について語り出す俺を見て、芹はくすっと笑った。

「そうだね。素敵だね」

「あ、なにそれ? バカにしてるでしょ?」

「してないってば。和也くんらしいなと思って。女の子は? ダメなの?」

「ダメじゃないけど、女の子だと、彼氏とか連れてきたら超ヤキモチ妬いちゃいそうでしょ? 俺」

「確かに。嫉妬して「帰れ!」とか言っちゃいそうだね」

彼女は、妙に納得した様子で大笑いしながら言う。
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