Crazy Love
タマネギが目にしみて、泣きながらシチューを作る理央の姿を見ていたら、ギュッと胸が苦しくなった。

理央はまだ知らない。俺が今から別れを告げようとしていることを……

「理央……」

俺はなんだか急に切なくなって、これから別れを告げるのに、こんな事をしてはいけないと思いながら、横から理央をそっと抱き締めた。

「ん? どした?」

「あ、俺も手伝うよ」

ごまかすようにそう言って、俺は着替えに行った。

無邪気な笑顔で、俺の顔を覗き込む理央の顔を見たら「別れよう」と口にする決心が少し揺らいだ。


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