Crazy Love
最終章:Precious one
次の週末、俺はカズくんから聞いた井の頭公園の芹のアパートを訪れた。
「いきなり驚いたよ。なんで家がわかったの?」
彼女は戸惑いながらも俺を部屋に通すと、コーヒーを入れながらそう言った。
芹のアパートは、リフォームはしてあるが、いかにも「アパート」という感じの建物で、キッチンと6畳ぐらいの部屋が一つだけの小さな部屋だった。
小さな子供がいる割に、部屋の中が雑然としている感じではなく、相変わらずキチンと整頓されている。
壁には達也くんが描いた絵なんかが所々に貼ってあり、ここでずっと、母子二人きりで暮らしてきたのかと思うと、胸が痛んだ。