Crazy Love
しかし、仕事はそう甘くなかった。

企業研修で行ったときと同じ雑用だらけの毎日。

記事を書かせてもらうこともなく、日々雑用に追われていた。

目の前の仕事を黙々とこなしていけば、いつかは認められるだろうと、そんな仕事も必死になってやった。

編集会議などでは、ここぞとばかりに企画案などを出してみたりもした。

しかしなかなか受け入れてもらえず、そんな自分に嫌気がさした時期があった。

思うようにならない状態に苛立ち、芹に当たることもしばしばあった。

それでも、彼女は優しく俺を励ましてくれていた。

仕事を始めてもうすぐ1年という3月の終わり、チーフが初めて俺の企画に興味を示し「記事を書いてみろ」と言ってくれた。

俺は芹への連絡を控えて、ありったけの情熱を込めて原稿を書いた。

チーフは俺の原稿を認めてくれ、俺の書いた言葉が初めて活字となって雑誌に載ることになった。

半ページにも満たないような小さな記事だったけれど、俺にとっての大きな第一歩だった。

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