Crazy Love
彼女は顔を上げ俺の方に目を向けると、同じ言葉をもう一度繰り返した。

「別れたいの」

「なに言ってんの? 冗談でしょ!?」

俺は、あまりの話の展開に頭が真っ白になり、訳も分からず薄笑い的な物を浮かべながら彼女に聞き返した。

動揺を隠しきれず、まばたきを繰り返しながら、瞳が落ちつきなく動き出す。

冗談で言っているのではないことは彼女のいつもと違う様子を見れば分かるのだが、それ以外の言葉はでてこなかった。

「本気だよ」

芹は表情を変えずに言った。

初めて見るとても冷たい表情だった。

彼女にプロポーズをしようとしていた絶頂期に、突然告げられた別れ。

まさに天国から地獄に突き落とされた気分だった。
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