Crazy Love

「な、なんで？」

彼女の言葉を頭で理解し始めると、喉の奥が締め付けられるような感覚が襲い、俺は絞り出すような声でようやく芹に尋ねた。

「別れたいから……」

芹は相変わらず冷たい表情のまま、たった一言そう告げる。

「え？　なにそれ？　そんなんじゃわかんねぇよ……」

俺は彼女の冷たい目を見ることに堪えられなくなり、ふっと目線を下方に反らしながら独り言のようにつぶやいた。

「そんなので納得できるわけないでしょ!?　ちゃんとした理由を言って欲しいって言ってんだよ」

ショックで声が震えだすのを感じながら、もう一度彼女を見据えて尋ねる。

「他に好きな人がいるの」

「好きな人!?」

「その人は、とても大人なの。私を優しく包み込んでくれる」