Crazy Love
それに……と、芹は言いかけて言葉を選ぶように黙り込んだ。

「はっきり言っていいよ」

思い返せば、チーフが俺に記事を書くよう言われる少し前辺りから、彼女の様子はおかしかった。

元々、偶然にも同じ用賀に住んでいたので、どんなに仕事が忙しいときでもチョコチョコ会うことは出来ていた。

記事を書くことになり、あまり会えなくなったというのもあるが、電話やメールには反応してくれたものの、芹が俺に会いたがらなくなった。

久しぶりに会った時、彼女を求めようとすると拒否され、キスさえも許してくれなかった。

でもそれは、仕事で上手くいかない事にヤキモキしている俺に活(かつ)を入れる為だと都合良く思っていた。
< 20 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop