Crazy Love
「嘘だろ? 嘘だよな」

「……」

「嘘だって言えよ……」

俺はテーブルに肘をつき両手で頭を抱えた。

悲しみ、怒り、情けなさ、絶望感───。

色々な感情が入り乱れておかしくなりそうだった。

堪えきれず涙がボロボロと溢れ出す。

「嘘じゃない」

芹はまるで淡々と事務仕事をこなして行くみたいに、俺との別れ話を続ける。

俺はそんな彼女の態度に違和感を覚えずにはいられなかった。

目の前にいる冷たい表情の芹が、いつもの芹と同一人物にはどうしても思えなかった。

彼女が他の男に抱かれたのだという実感もあまりなかった。

芹が他のやつに抱かれたということが事実かどうかということよりも、そんな話をしてまで俺と別れたがっていることの方がショックだった。
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