Crazy Love
「帰って。もう二度と来ないで」

別れたくない一心で色々抵抗してみたが、どれも無駄な抵抗に終わり……

俺は完全に打ちのめされてしまった。

彼女に立ち向かう勇気も、気力も、なにもかも失ってしまった。

芹のことを好きなのかさえ分からなくなってしまった。

思考回路は完全に停止し、もう涙も出てこなかった。

俺の芹への想いは、膨らみすぎた風船が弾けたように、大きな衝撃を残して完全に壊れてしまった。

もう……元には戻れない……

俺は、ポケットから鍵を出すと、彼女の部屋の鍵を外してテーブルの上に置き、言葉を発することも、芹の顔を見ることもなく部屋を去った。

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