Crazy Love


芹と別れた後、二人の思い出が詰まっているこの部屋を引っ越すことも考えた。

でも、ここから動いてしまったらもう二度と彼女とは会えなくなってしまう気がして、引っ越すことは出来なかった。

またいつか、俺たちは戻れるような気がしてならなかった。

あんな事を言われたのに、俺はなぜだか芹を完全に嫌いになることは出来なかった。

それどころか、いい思い出だけが色濃く頭に残り、芹への想いはますます募っていく。

もう一度、優しく笑う芹に会いたい。

俺を好きだと言ってくれた芹に。

いつも包み込むように俺を見守ってくれた芹に会いたかった。

芹を忘れそうになると、必ずの彼女の幻覚が俺の前に現れる。

まるで「忘れてはいけない」とでも言うように。

どうしても、俺の心の片隅から彼女の姿は消えいかなかった。

いっそ嫌いになれれば楽なのに。

きれいに忘れてしまえたら……


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