Crazy Love
「和也!? こぼれてるよ!」

理央の声でハッと我に帰る。予期せぬ出来事に、グラスを持つ手が震えだしその振動で、グラスの水がビチャビチャとこぼれ落ちていた。

「あ……」

「どうしたの?」

「い、いや」

ヤバい。

芹に気付かれてしまう。

芹に会えたことに驚くよりも、理央に彼女の事を気付かれるかもしれないということよりも、咄嗟に理央と一緒にいるところを芹に見られたくないと思ってしまった自分がいた。

彼女をようやく忘れることができたのに……

神様は意地悪だ。

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