Crazy Love
「さっきは、いきなり声掛けられてビックリしたよ。偶然会っても、もう声掛けてこないぐらい嫌われてると思ってたから……私、ひどいこと言っちゃったしね……」

彼女が申し訳なさそうに言う。

「正直、あの時は俺、かなりへこんだけどさ。多分もう一生あんなに泣かないんじゃないかっていうくらい泣いたよ」

俺はせっかくの再会を重い空気にしたくなくて、辛かった過去を笑い話の様に明るく話した。

「でも、なんだろう。この間偶然会えて、怒りよりもうれしい気持ちの方が強かったんだ。なんていうか、今となってはいい思い出っていうかさ。」

嘘つけ! 本当は忘れられてなかったくせに……

「そう」

安心したような笑顔で、芹は俺に微笑み掛ける。
< 72 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop