Crazy Love

「あ、それじゃあ……もう行かなきゃ」

「うん」

すると芹は

「またね」

と言って俺に右手を差し出してきた。

一瞬戸惑ったが、俺も右手を出して芹と握手を交わす。

「またね」

俺たちは、もう次はありもしないだろうとお互いに思いながらも、「またね」と言い合った。

社交辞令というのとも少し違う「またね」。

芹の手の感触を、芹とうち解けた今この瞬間を胸にしっかりと刻みつけておこう。



これから先、俺がもう迷わないように……