Crazy Love


「今日は和也の家に泊まってもいい?」

食事を終え駅に向かって歩きながら、ゆっくりと俺の手を取り理央が聞いてきた。

「ゴメン、今日はちょっと.明日編集会議なんだ。なかなかいい案が浮かばなくてさ」

「え~! ガッカリ! 今日こそ朝まで和也といられると思ったのに」

理央はこういうことを口に出しても、不思議といやらしさは感じさせない。

「お前、そういうこと平気で言うなよ」

軽く舌を出しながら、茶目っ気たっぷりに笑う理央。つられて俺も笑う。

そう、俺たちはつきあい始めて8ヶ月が経つけれど、体の関係はまだ一度もない。

俺たちの付き合い方はまるで中学生のように、電話で話したり、一緒に食事をしたり、デートをしたりそんな程度の幼稚な付き合いだった。

< 8 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop