思い出作り。
『あ、後さ…この曲めっちゃ良いから聞いて。』
ウォークマンを取り出して、片方のイヤホンを渡された。
つけてみた。
音楽が流れ始めた。
ノリが良いバンドの曲みたいだった。

君はいつか掴むだろう
その光を 目に見えないその光を

音楽は好きだけど、マニアックな事を知らないけど…ギターとかの音が凄い。
1度しか聞いてないのに歌いたくなるような曲だった。
『この曲さ、俺らと同い年ぐらいの人達のバンドなんだ。ROCKMUSICって大会でグランプリ取ったんだよ。
そんでメジャーデビューだってさ。
…凄くない?』
「凄い…」
私は圧倒されてしまい、ただそれしか言えなかった。
『俺これ出たいんだ。グランプリ取りたいの。10代しか出れないから…バンド組んで出たいの。』
「そうなんだ…」
前までイラストレーターになりたかったけど、最近は将来の夢がなくなった。
そんな私にとって、アズのその夢はスッゴく羨ましかった。
「…ねぇ。」
『何?』
「ウチやりたい。」
高校入って何かしたいんじゃなかったのか、自分。
けど何も今まで出来なかった。
だから…このチャンスというか…。
自分を変えるのは…これしかない。
「ウチもやりたい!!」
『おう。』
アズは
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