好き。
「何」
今度は雄太からセリに目線を移す。
睨むのはやめた。
だってセリ、
泣きそうな顔をするんだもん。
そりゃそうだよね
さっきまで先輩に
絡まれてたんだし。
「未耶、なんか、怒ってる?」
「いや全然」
「怒ってるでしょ?」
「だから怒ってない」
「でも…っ」
「何回言えば気が済むわけ?」
短期なあたし。
このモヤモヤを溜め込んで、
平気でいられるわけがない。
怒鳴りつくように
あたしはセリに放った。
沈黙が続く。
「おい未耶…どうしたんだよ」
雄太が眉を寄せて言う。
原因はお前だっつーの。
「別になんにも。てゆーかあたし、もう帰るから」
耐えきれなくて
その輪から抜け出して
3年の廊下歩いた。
…視線が痛い。