好き。
カツ…カツ…
あたしの足音が響く。
あの日みたいに。
カツカツカツカツっ…
そしてまたあの日みたいに
あたし以外の足音が入って近づいてくる。
ガバッ
「きゃっ…」
大きな腕に
後ろから抱きしめられた。
温もりを覚えてる。
この手は雄太。
「なに、いじけてんの?」
「はっ?いじけてないし!離してよっ」
耳元で囁くから
ゾクッとしたんだ。
だって吐息が…
当たる。
「フッ…未耶可愛~」
耳元に意識してるのを気付いたのか、
雄太は笑った。
「意味わかんないっ…離して!」
あたしは雄太の腕を振りほどいてまた廊下を歩いた。
なんなの…っ
カツカツカツっ
まだ付いてくる足音
そして
ガバッ
また大きな腕で
雄太はあたしを包んだ。
「逃げんなよ」
またゾクッとする。