好き。
「離してよ」
「離さないし」
力いっぱい振りほどいても
次はちっとも振りほどけなかった。
「ね、何怒ってる?」
「だから怒ってない」
「ふーん…」
そう言った雄太は
あたしを解放した。
なんで離すの?
なんでだろ…
離してほしくなかった。
あたし頭おかしい!
「帰るんだろ?」
「え?」
「送るけど!」
満面の笑顔で言う雄太。
な、な、
なんなのコイツ。
「いいって1人で帰れるから」
「違う。俺が送りたいの!」
「1人で帰れるからいい」
「なんで送らしてくんねーのぉ?」
子犬みたいに言う雄太がなんだか
愛しく感じた
でも気付かないように
あたしは目を反らして
「じゃあ…帰らない」
そう言ったあたしに
雄太はキョトンとする。