好き。
「未耶大好き~っ」
悠里はちっさい腕であたしを抱きしめた。
「悠里、苦しい…」
「未耶ありがとねえ!」
「…はいはい」
そんなに喜ばれると
罪悪感さえなくなる。
このままでいいのかあ…?
「とりあえず、今日は帰ろ♪」
悠里は先に湊と帰った。
「未耶、送って行こうか」
翔留がニコッと笑って言う。
二人きりの屋上はかなり静か。
「いい。あたしまだ帰らない」
「なんで?もう5時過ぎてんじゃん」
「いいの。先帰っていいよ」
翔留は一瞬躊躇ったけど、
友達と遊ぶ約束があるらしくて「ごめん」
と言って帰って行った。
一人屋上に取り残されたみたい。
冷たい風に当たりながら
あたしは空を見上げた。
「…まだ明るい」
もう5時なのに。
『空がいとおしい』と
柄じゃない事考えながら。