好き。
ガチャッ
玄関の開く音。
「おじゃましまーす」
女の声。
どーせ兄ちゃんの彼女。
「お、彩~いらっしゃい」
兄ちゃんがそう言ったと同時に彩(アヤ)と呼ばれた女はリビングに入って来た。
そして大分着崩した制服で立ち尽くしているあたしを女は見た。
「ちょっ…龍!この女誰?!」
女は龍を揺らしながら言う。あたしを指さして。
「あれ、言ってなかった?妹だけど」
「…え」
数分後
「未耶ちゃんごめんねえ!龍にこんな可愛い妹がいるなんて知らなくてさー。
あ、あたし松下彩(マツシタアヤ)。龍と同じ学校で彼女♪
彩って呼んでね!」
紹介が長い。
あたしは呆れ顔で「よろしく」
と言った。