さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
自由がないということが唯一の不自由な点だったが、
まさかそれを声高に言うわけにもいかず、
結局毎回決まった答えを返すのだった。
いつもなら、そのやり取りが終われば、
ソリャンは仕事があるからと行ってしまうのだが、
今日はなぜか、窓際にいるレイラに近寄ってきた。
「レイラの髪は、不思議な色をしているんだね。
赤いのに、光を浴びると金髪のようにきらきらと輝く。
まるで炎のようだ。とても美しいよ」
ソリャンはレイラの髪に指を引っ掛けて、まじまじと眺める。
「母譲りだと聞いています。
でも、そんな風に言ってくださるのは、ソリャン様が初めてです。
小さい頃から、変わった髪だとからかわれるのが常でしたから」
髪の毛からソリャンの指の熱が伝わるような錯覚にとらわれて、
レイラは緊張に体をかたくする。