さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「レイラがいなくなってから、自分こそがレイラだと偽って城を訪れるものが増えてね。
それで、父は、人間不信に陥ってしまって。
父が他人を信用せず、厳しい態度をとるのは、その時のことが尾を引いているんだ。
だから、レイラにも冷たくあたると思うけど、どうか許してやって欲しい」
さびしそうに微笑むソリャンに、レイラはますます苦しくなる。
許すなんてそんな、と呟くと話をそらすように疑問を呈した。
「でも、どうして偽者だとわかったのですか?
いなくなったのは、赤ん坊なのに」
何か、特徴でもあったのだろうか。
ソリャンはふっと口を緩めると、
「“レイラ”と名づけた理由を知っているかい?」
とうとつにそんな事を言い出した。
ソリャンの小さな声は、慎重に聞いていないと聞き逃してしまいそうだ。
レイラは、いいえ、のかわりに首を振った。