さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「古語でフレイラというのは、炎を意味するんだ。
レイラを一目見た父が、その燃えるような赤い髪を見て名づけた」
「まぁ!それでは、レイラ様は赤い髪をしていらっしゃるのですね」
「うん。でも、今までに名乗り出た者は、誰一人として赤い髪をしていなかった。
赤い髪というのは、公表していなかったからね。
性別と年齢があえば、わからないと思ってたんだろう。
現れたのは、私や父と同じ金髪をした者がほとんどでね」
ソリャンはレイラの髪を自分の口元へ運ぶと、
口付けるような仕草をする。
「僕とは母が違っていたけど、
初めての妹だったからとても楽しみにしていたんだ。
もし生きていたら、レイラのようになってたのかな」
続く沈黙に、ソリャンが顔を上げた。
レイラが俯き、しおれた花のように肩を落としている。
レイラの衣に水玉の模様がついているのを見て、ソリャンは目を見開いた。