さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
そんな険しい表情を見せるのは初めてのことだ。
「すみません。あのやっぱり、みっともないですよね。
ソリャン様の妻にはふさわしくない・・・」
自分でもかすかに抱いていた劣等感が、顔を出す。
両手で瞼を覆ったレイラを見て、ソリャンは慌てて取り繕った。
「あぁ、ごめんよ、レイラ!そんなつもりじゃなかったんだ。
ただ、どうも刺青のように見えたから、ちょっと驚いて」
ソリャンはレイラを抱き起こすと、寝台の上に向かいあって座る。
「突然で悪かったよ。
その、レイラがあんまり可愛かったから、どうしても欲しくなって。
君がまだ14歳だということ、忘れてた。
6歳も年上なのに、思いやりに欠けてだめだな」
許してくれるかい?と言って顔を覗きこむソリャンに、
否といえるはずもない。
レイラは小さく、はい、と答えた。