さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
寝台に沈んだままのレイラの耳たぶに、触れるような口付けを落とすと、
仕事があるからまた会いに来るよ、と言ってソリャンは立ち上がった。
回廊に出た瞬間、ソリャンの目に銀の髪が飛び込んでくる。
その男はソリャンをみとめると、すぐに跪き道を譲った。
「サジ。君は・・・」
「はい」
「いや、なんでもない」
ソリャンは何か言いたげに口を開いたが、
すぐに柔和な笑顔を見せた。
「レイラに会いにきたんだろう?」
「お邪魔でしたら、後にいたします」
「いや、ちょうどいい。少し故郷を思い出して寂しくなってしまったようだ。
なぐさめてやってくれ」
「わかりました」
顔の筋肉を一箇所も使うことなく、サジは頭を下げた。