さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「そんなんじゃないわ!
そりゃ、私のあざを見てすごく動揺してたみたいだけど、
ちゃんとあやまってくれたし」
「あざを・・・見られたのか?」
自分の言葉の持つ意味にはっとして、レイラは耳たぶまで赤く染める。
「サジのばか!」
用意もしてなかった言葉が、するりと滑り落ちた。
「ばか?私がか?」
「そうよ!サジなんか知らない!
もう、出て行って!」
背を向けたレイラの耳に、扉の閉まる音が響いた。
罪悪感以外に、わけのわからない感情が入り乱れて、泣きそうになる。
・・私、なんでいらいらしてるんだろう。
サジはちっとも悪くないのに。
入ってきた侍女に声をかけられるまで、
レイラはサジの去っていった扉をじっと眺めていた。