さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「ばかといわれたのは、初めての経験だな」
扉の外側で、サジは額に手をやる。
その拍子に、髪がさらりと音をたてた。
・・ソリャン王子、か。確か今、20歳だったな。
ということは、レイラ姫が行方不明になったときは6歳か。
一瞬、サジの瞳に激しい光が浮かんだが、
それはすぐに深い場所へと沈んでいった。
回廊を歩き始めてすぐ、サジはすばやく振り向いた。
そこにあるのは、レイラの部屋へと続く扉。
そしてその後ろには、丸い石柱が天井を支えている。
・・つけられているな。
サジは微苦笑を浮かべる。
それは、そうと説明されても誰にもわからないほどのものだった。
(つづく)