さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

レイラの心の奥底をこじ開けるようなソリャンの眼差し。

そこには濃い疑念の色が浮かぶ。


「君が嘘をつくような子だと思いたくはないよ。

何か事情があるのなら、打ち明けてはくれないかい?


決して悪いようにはしない。本当の事が知りたいんだ。

君は一体、誰?ジマールは何をたくらんでいるの?」


両肩に心地よい重みを感じる。

騙した自分に、なお優しい腕を差し伸べるソリャンに、

レイラはこれ以上嘘を突き通すことができなかった。


「私はレイラと申します。でも、ジマール様の娘ではありません」


瞳に溜まった涙が、堰を切ったように溢れ出す。

それでも、家族の命乞いだけはしなくてはならない。


「どうか、お許しください。私の家族がジマール様に捕らえられているのです」


「家族が?」


「はい。盗賊の嫌疑をかけられ、縛りくびになるところだったのを、

私が身代わりにここへ来ることで、刑の執行をまぬがれたのです」


< 121 / 366 >

この作品をシェア

pagetop