さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
レイラの心の奥底をこじ開けるようなソリャンの眼差し。
そこには濃い疑念の色が浮かぶ。
「君が嘘をつくような子だと思いたくはないよ。
何か事情があるのなら、打ち明けてはくれないかい?
決して悪いようにはしない。本当の事が知りたいんだ。
君は一体、誰?ジマールは何をたくらんでいるの?」
両肩に心地よい重みを感じる。
騙した自分に、なお優しい腕を差し伸べるソリャンに、
レイラはこれ以上嘘を突き通すことができなかった。
「私はレイラと申します。でも、ジマール様の娘ではありません」
瞳に溜まった涙が、堰を切ったように溢れ出す。
それでも、家族の命乞いだけはしなくてはならない。
「どうか、お許しください。私の家族がジマール様に捕らえられているのです」
「家族が?」
「はい。盗賊の嫌疑をかけられ、縛りくびになるところだったのを、
私が身代わりにここへ来ることで、刑の執行をまぬがれたのです」