さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「お、俺はユーリ。レイラに頼まれて、君たちを助けに来たんだよ。
嘘じゃないって!」
両手を上に上げ、まぬけな格好のまま訴える。
「ええ、っと、お父さんは大工さんで名前はミゲル。
君は乗馬が得意で料理が苦手。だから食事の担当はレイラだ。
ホックは酒を飲むといつも君を口説いて、お父さんに叱られる」
わずかな時間でレイラから聞いた身の上話を必死に回想する。
「どうしてそんなことを」
そんなごく内輪の話、他人が知るわけがない。
だが、レイラを脅して聞き出すことも可能だ。
カマラは剣を引かず、ユーリの瞳を射抜くように見つめる。
「リア城に行く途中のレイラに会ったんだ。
事情は聞いたよ。ジマールの娘のふりをさせられてるんだろう?
頼むから、話を聞いてくれないか」
カマラが心を決めかねていると、
ユーリを探し当てた部下が、窮状を察して走りこんできた。