さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「ユーリ様!」
3人の兵はそれぞれ剣を抜き、二人の周りを取り囲む。
「ユーリ“様”?」
カマラの表情が、険しくなる。
ここで様づけで呼ばれるのは、ジマールの関係者だ。
「お前ら、剣をしまえ!」
「ですが」
「いいからしまえ!」
命令に応じて、兵士がしぶしぶ剣を戻すのを確認すると、
ユーリはカマラを諭すように話しかけた。
「あのさ、全部ちゃんと話すから。
だから、俺の剣。返してくれない?」
腰に佩いた空っぽの鞘を指差して、ユーリは苦笑いした。