さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
作り笑いを覚えたのは、いつだったのだろう。
この頃では、それが格段に上達した気がする。
レイラ、と呼ばれ、はっと我に返った。
「あ、ごめんなさい。何の話でしたっけ」
ソリャンを前にして、レイラは慌てて微笑みを作った。
王や侍女ならば、本物の笑顔に見えるだろうが。
「家族のことが、気になる?」
何でもお見通しのソリャンに、こくんと首を落とす。
ソリャンの話では、こっそり人手を送って、
ジマールのことを調べているところだということだった。
突然王権をかざして乗り込むと、ミゲルたちが口封じをされる可能性があること。
王にレイラが偽者であると話せば、もっと悪い展開になるかもしれないことなどを
ソリャンは丁寧に説明してくれた。
だから、今は大人しく待つことしかない。
それは、レイラにも良く分かっていた。