さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
気分転換にとソリャンが持ってきた珍しい異国の宝飾品も、
今のレイラの気分を和ませることはできそうもない。
「ごめんなさい。私、ソリャン様を信じてます。
でも、すごく不安で」
何もしないでいると、悪いことばかりを考えてしまう。
その大きな原因が、サジの言葉であることもレイラにはわかっていた。
「レイラ。もう少しの辛抱だ。
君の家族を助け出したら、ジマールには厳しい罰を与える。
君たちには、恩赦を願い出るつもりだから、心配しなくていいよ。
君を見張っているジマールの私兵も、一度に捕らえるつもりだ。
だから、それまではこちらの動きを悟られないように、普段どおりにしていて欲しい」
それにね、と言いながらソリャンの両手が、レイラの頬に触れる。
「私は、君を好きになってしまったんだ。
ジマールの娘のレイラではなく、私の目の前にいるレイラをね」
熱のこもった瞳が、ぐんと近づく。
「レイラ」
艶やかな声音が鼓膜を揺らした。