さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
拘束力はないはずなのに、どこか強引さを含んだ瞳。
「いえ、あの。か、考えてみます」
小さく答えると、
「ありがとう!!」
即座に、輝くような笑顔が現れた。
「失礼いたします」
扉が音をたて、涼やかな声を運ぶ。
「あ!も、申し訳ございません!」
侍女は自分の犯した過ちに気づき、すぐさま顔を背け跪いた。
ぴたりと身を寄せ合った二人を見て、そう思うのは至極当然のことで。
事態を把握したレイラの顔は、茹蛸のように真っ赤になった。
「あ、あの!違いますから!」
表面上は妻という地位にいるのだから、誤解されても何の問題もないのだが、
必死に否定を続けるレイラを見て、ソリャンは苦笑した。