さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
何もなかった風景に、一軒、また一軒とレンガ造りの家が顔を見せる。
賑やかになってきたと思ったら、
すぐに、それらが密集して立ち並ぶ街が姿を現した。
「俺たちは、レガ国王の命令でその調査をしてる」
目的地に着いて、ユーリは馬の歩みを遅めた。
後ろに並ぶ兵士も次々と手綱をさばき、歩調をあわせる。
湖が目の前に迫ると、ユーリは全員に下馬するように指示し、
自らも馬を下りた。
「どう?信用してくれた?」
ユーリは手綱を持ったまま、にっこり笑ってカマラを見上げる。
カマラは横目でちらりとユーリを見下ろすと、馬上から声をかけた。
「ちょっと聞いていい?」
「何?」
「あなた、私たちを助けに来たと言っていたけど、
どうやって助けるつもりだったの?」