さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

特に気分を害することもなく、

ユーリは高い位置からのカマラの視線を正面で受け止める。


「リア国王の使いとしてジマールに会うつもりだったんだよ。

レイラが偽者だってばれたぞ!ってね。

で、焦ったジマールに取引を持ちかけようと」


「取引?」


「そう。偽者だけどソリャン王子がレイラを気に入ったから、このまま妻とする。

その代わり、家族は放免してやるように、って。

でもって、断れば、ジウチ王の命令で家を取り潰すってね」


「それで、国王の紋章が入った旗を用意してたのね」


実際には暗くて役に立たなかったが、

国王直属の兵士のみが着る太陽の模様が入った服を、ユーリたちは着用していた。

ご丁寧に、国王の紋章が入った旗を掲げて。


カマラは慣れた様子で馬を下りると、

手綱を持ったまま、ユーリの傍へやってきた。


「きちんとお礼を言っていなかったわね。

皆を助けてくれてありがとう」


頭を下げると、長い髪のたばが鞭のようにしなった。



< 154 / 366 >

この作品をシェア

pagetop