さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「火事って、皆がいたところがですか?
どれくらい酷いんですか?」
リア国は温暖な気候だが、雨が少ない。
火事は最も恐れられる災害の一つだ。
「ジマールには、レイラの家族のことはとぼけられた。
ミゲルなどという盗賊は知らないとね」
「そんな!」
レイラは勢いよく立ち上がった。
ダン!と椅子が後ろへ転がる。
震えるレイラの肩は、
悲しんでいるようにも、怒りをあらわにしているようにも思える。
ソリャンは、自分もゆっくりと腰を浮かせると、
潤んだレイラの瞳を見つめた。
「レイラを身代わりにしたことも告げたが、
君が本物の娘だとつっぱねるつもりらしい。
調べたら、盗賊らしい連中が捕らえられていた牢があった」