さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「仲間がいるのね?」
「そう。ちゃんと手配済みだから安心していいよ」
・・もう、どこが魔法なのよ。ちゃんとやることやってるんじゃない。
カマラはわずかにできた心の余裕から、安堵のため息をついた。
まっすぐに明かりを目指すと、しばらくして船底が地面に触れる。
「よし、降りるよ」
膝よりも高い位置まで水につかるが、水温は思ったほど低くはない。
水音を立てないように気をつけながら、列を成す。
数人の兵士に続いてカマラ、そのすぐ後ろにユーリが並ぶ。
水の抵抗は少々厄介で、カマラは足を取られないように体重のかけ方に気を配った。
腰ほどの高さがある岸辺は、周辺が背の高い草に覆われている。
松明を持った男たちが次々に兵士を引き上げる。
カマラも差し出された手を握り、リア国の大地を踏みしめた。
「お疲れ様です」
岸側にいた仲間が声をかける。
その言葉はユーリに投げられたものだったが、カマラは思わず振り返った。