さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
周囲を警戒していた全員の視線が、悲鳴の方向を注視する。
「お怪我はありませんか?ユーリ様」
兵士が手を差し伸べると、
地面にべったりと張り付いている物体が、あいててて、と唸った。
「あぁ、なんとか大丈夫。なんかここ柔らかくて、わっ!」
自分が全体重をかけてもたれかかっている地面が、
抵抗するようにぐいと動く。
・・まさか。
顔を下に向け、恐る恐る目を凝らす。
・・土のはず。草地のはず。いや、最悪兵士でもいい。アレでなければ。
自分の体を支えている大地であるはずのものに目をやる。
金色の髪が、炎に照らされきらりと光って見せた。
それは、ユーリが予測する最悪の事態。
アレと評したものだった。