さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

人間考えることは同じだな、とサジは心の中で呟いた。


レガ国の城にも、似たような隠し扉がいくつもあるからだ。


扉の内部は意外にも単純で、

それぞれの部屋をぐるりと一周できるような仕掛けになっていた。

もちろん、レイラのいる部屋にも繋がっている。



・・昨日はなんともなかった。



サジは、壁や床をなめるほどに注意深く探し、

目当てのものをつまみあげると、やはりな、と呟いた。


その指先には、銀色の髪が一本。


自分以外の誰かが、この通路を使っていればわかるように、

扉に挟んでおいたはずの髪の毛が、少し離れた床の上に落ちていた。


神経を研ぎ澄ませ、ゆっくりと壁を押す腕に力を込める。


音もなく板がすっと回転すると、新しい空間が現れた。


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