さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
いつの間にか、夜になっていたらしい。
喉の渇きを感じて、レイラは自嘲した。
こんな時でも、人間の体は正直な反応をするようだ。
水差しを取ろうと寝台から上半身を起こし、ふと違和感を覚えた。
「誰か、いるの?」
誰かに見つめられているような、肌を刺す空気。
恐怖をはらおうと声を出してみたが、反応はない。
気のせいかしら。
レイラが寝台から起き上がろうとした瞬間、突然背後から口をふさがれた。
「ん、っぐぅ」
いまだ覚醒途中の体は、とっさの反応が鈍い。
ばたばたと手足を動かすが、劣勢は翻せない。
次第に力が抜ける。
それを見計らったように、レイラの体は寝台の上に投げ出された。