さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
今まさに、意識が底なし沼に沈み込もうとした時、
「貴様、何をしている!!」
怒気を含んだ恐ろしく重低音の声が、はっきりとレイラの耳に響いた。
バシン、ドタン。
激しい物音がしたかと思うと、レイラの拘束がとかれる。
「ヒュッ、ゲホッ!」
一気に流入した空気に、むせる。
ゴホゴホと咳を繰り返し、胸が大きく上下した。
何者だ、という声と、争うような物音がしたが、
とても目をやる余裕はなかった。
「無事か!」
怒鳴りつけられたのかと思うほどの、大声。
「サ、ジ」
「生きてるな?」
「う、うん」