さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
急遽しつらえた机の上には、豪華な食べ物が並んでいる。
湯気の立ち上るそれらは、どれも栄養を考えられて作られたものだ。
「食欲がないと聞いているけど、それじゃあ体に悪い。
ぜひたくさん食べて欲しいな」
落ち込むレイラの気分転換にと、ソリャンは庭に食事の用意をさせていた。
自らも隣に座り、レイラの顔を覗きこむ。
「はい。ありがとうございます」
礼を言いながら、レイラはそっと視線をめぐらせた。
傍に控える侍女以外に、大勢の兵士が見下ろすように二人を取り囲んでいる。
今までもソリャンは護衛を引き連れて現れていたが、
今いる兵士たちの半分はレイラ専用だ。
襲われたと知り心配したソリャンが、彼女の護衛の数を増やしたのだ。
仕方なく口に運んだスープの味は、少しもわからなかった。
「おいしいかい?」
「・・・はい。とても」
レイラは力なく微笑んだ。